設問:日本人がいわゆる「漢文訓読」で中国の古典を読む場合の利点と問題点について説明せよ。
テキスト:漢文法基礎:本当にわかる漢文入門(講談社学術文庫 2018)、講談社
日本人がいわゆる「漢文訓読」で中国の古典を読む場合の利点と問題点について説明せよ。
まず、「漢文訓読」について考える。「漢文訓読」とは、漢文を中国語の読みではなく、大和言葉の読みによって読み上げる方法である。「漢文訓読」においては、文章そのものには触れず、読解時に日本語の文法に合わせて上下を転倒して適切な助詞・助動詞・活用語尾などを補い、それ以外のものは漢語として読んでいく方法が取られる。
また、「漢文訓読」そのものは、漢文が中国から日本に伝来した古代から存在するとされているが、具体的な年代は分かっていない。古代日本人は、外国語としての漢文を日本語として読めるように苦心してきた。その結果、世界のどこにも見られない、他国の言語を自分たちの言葉に置き換えてしまう「漢文訓読」を発明したのである。
では、その「漢文訓読」の利点について考えてみる。「漢文訓読」の第一の利点は、中国語を知らなくても、日本語として読むことが可能であるという点である。「漢文訓読」では、基本的に日本語の文法で読まれる。例えば、漢文の助動詞は、訓読では日本語の動詞、副詞、助動詞などに読み分けられている。だから、漢文、つまり...