『枕草子』の随想章段の構成とその眼目(主題)についての考察論
『枕草子』の随想章段は、日常生活や四季の自然を観察した文章で、内容の性質と形式から分類されたものの一つである。第三段の『正月1日は』は、「をかし」が九つ登場し、最後に「あはれ」で締めくくられているのが特徴的である。
内容記述は、「一日」・「七日」・「八日
・「十五日」・「除目のころ」と日付を追って記述されている。除目とは、外官を任命することであり、春と秋の年に二回あったとされる。この段では、内容的序列で春の除目とされ、正月の十一日からの三夜を指す。
ここで、「十五日」の記述が「除目のころより先に来たのが疑問となる。これは、「をかし」の状態を並べた後に「あはれ」を持ってくると、文章表現的に締まりを感じるからかもしれない。もし、日付重視で後半に「あはれ」を述べたあとに再度「をかし」を持ってきたとしたら、「あはれ」は強調されなかったであろう。
「をかし」の表現に事物や行為ではなく、「さま」(ある事態の様子)を重要視している点に着眼するのは妥当である。実際、第三段でも「“さま”ことにをかし」と表現されており、対象が「空のけしき」であったり「
世にありとある人」であることから、焦点が広く幅広い...