1.図書のデジタル化に於ける問題点について
2.著作者人格権の侵害
1.図書のデジタル化における問題点
図書をデジタル化することによって、スマートフォンやタブレットPCで容易に持ち運べる環境ができつつある。しかし、図書の著作権を保護するためには、現時点では様々な問題がある。
第1に、第30条で掲げる私的利用のための複製の問題である。
図書をデジタル化するということは、容易に複製ができるということである。また、それらは、インターネット上にアップロードすれば、容易に拡散されてしまう。もちろん、
アップロードに関しては、第23条で保護される公衆送信権に違反している。しかし、ダウンロードはどうであろうか。現行法では、映像と音楽は違法であると第30条で定められているが、図書に関しては触れられていない。
また、昨今において、図書をデジタル化するサービスも数社で提供されている。この業者も、顧客から預かった図書をデジタル化して、それを顧客に返送し、デジタル化したデータを削除すれば、まだ大きな問題はない。しかし、これを削除せずに保有していた場合は、明らかに私的利用のための複写の域を超えている。
さらに、最近では個人で裁断機とスキャナを用意し、デジタ...