1.微生物とは
一言で「微生物」(microorganism)と言ってもその範囲は広く、一言で定義するのは難しいが、一般には「肉眼で確認できない単細胞生物群」という認識になっている。微生物といってもそこには細菌・カビ・酵母・藻類・原生動物など実に様々なものが含まれている。微生物は1グラムの土壌中に10億個も住んでいることが判っているが、その99.9%には名前すらついていない。生物の分類からみた微生物は図1(「微生物のおはなし」より引用)のようになる。微生物はその細胞構造から原核細胞をもつ下等微生物(原核微生物)と真核細胞をもつ高等微生物(真核微生物)、増殖に他の生物の代謝機能を利用するウィルスに大別することができる。
2.微生物の生理と代謝反応
生物は生命を維持し、発育して機能を発揮するための基本となるエネルギーをATP(アデノシン3リン酸、Adenosine-5’-triphosphate)という形で保存する。微生物も同様で、その反応をまとめると以下のようになる。
・糖代謝系
一般の高等生物、好気性及び嫌気性の微生物においてデンプンを含め糖の分解はエムデン・マイヤーホフ・パルナス経路(解糖系Embden-Meyerhof-Parnaspathway、略してEMP経路)またはペントースリン酸経路によってピルビン酸まで分解される。その様子は以図2(「微生物のおはなし」より引用)のようになっている。ペントースリン酸回路はグルコース・6・リン酸(G6P)から途中に五炭糖を経由して複雑な反応を経て再びG6Pに戻る反応で、核酸の生合成にj必要な五炭糖、生合成に必要な補酵素NADPHの供給源として重要であり多くの微生物の糖の好気的代謝においてEMP経路とともに働いている。
・発酵
有機化合物が水素を与える水素供与体となり、同じ又は別の有機化合物が水素を受ける水素受容体となって酸素還元反応が行われるのが発酵の特徴である。
―目次―
前書き
1.微生物とは
2.微生物の生理と代謝反応
3.微生物の利用
4.バイオレメディエーションについて
5.まとめ
参考資料
前書き
私がバイオテクノロジーの授業に興味を持ったのは以前「動物のお医者さん」という漫画を読んだことがあったからだ。主人公は獣医学部の学生で、実験の様子も事細かに描かれていた。文系の私にはこの授業を通じてしかそういった実験の世界を垣間見ることは出来ないと思い授業の履修を決意したわけだが、そこで経験したいくつかの実験の中で特に興味深かったのが寒天培地で微生物を培養するものだった。自分がやっていた培養の手順は「動物のお医者さん」の主人公がしていた事と同じであることから、自分が理系の世界を体験できた事がとても嬉しく感じられ、同時に微生物に対する興味も深まった。そこで今回は微生物について調べてみようと思う。
1.微生物とは
一言で「微生物」(microorganism)と言ってもその範囲は広く、一言で定義するのは難しいが、一般には「肉眼で確認できない単細胞生物群」という認識になっている。微生物といってもそこには細菌・カビ・酵母・藻類・原生動物など実に様...