文学「赤と黒」においてジュリアン・ソレルついて記述した。
「赤と黒」においてジュリアン・ソレルはまっとうで平凡な人生を送らなかった。確かにそれでは小説として面白くも何ともないが、これが空想の絵空事でなく、歴史的な実際の事件や時代背景を色濃く象徴していたことが、非常に特異なリポートだといえる。
それにしても、19世紀のフランスは、かようにも身分階級に厳格な社会とは、私は今まで認識していなかった。産業革命の始まりころで、領地を持つ貴族階級が台頭しており、その時代を打ち破ったのがナポレオンであること、産業の黎明期なので、ジュリアンの生家の製材工場や町の製釘工場などが、だんだんと生産量を上げ、経済活動が活発化していくようすがよくわかる。
また、町長や役職者になるには、様々な裏工作やかけひき、しかも聖職者においても有力者の口添えや文書・手紙の力なしではうまくたちまわれない・・・社会制度の退廃がみられることにも、非常に驚いた。単純に領地を持っているだけでは、なかなかうまく行かず、様々な売買や情報戦略を駆使しないと、貴族といえどもどんどん没落していくように斜陽化が加速的に進んでいる現状が描かれている。
また平民の出身であるジュリアンが、町長レーナル...