エネルギー問題は当初、資源の枯渇の問題として取り上げられてきた。1972年にローマクラブから発表された『成長の限界』モデルは、地球の資源・エネルギーと環境の有限性を強く警告し、世界の関心を集めた。この『世界の限界』の主な主張は次のようなものだった。「食糧・工業生産および人口は幾何級数的に成長し、ついには急速に減少する資源が工業の成長を低下させるにいたる。人口の増加は、食料と医療のサービスの減少による死亡率の上昇によって最終的に低下する」(ロークラブ『成長の限界』より)この報告に続き、国際的にエネルギー問題が注目されたきっかけは、石油ショックである。1973年と1979年の二度の石油ショックでは、それまでの「安くて便利な石油」の上にのった先進国の経済成長に冷水を浴びせた。それは『成長の限界』が示したとおり、大量消費できたエネルギー利用が限界に来ていること、同時に、それが政治的に脆弱な基盤の上にあったことを明らかにした。そして、化石何両の消費は、二酸化酸素など、熱を吸収する気体を放出する。これが地球環境温暖化を引き起こすことが懸念されている。地球が温暖化すれば、南極・北極をはじめとする各地の氷が溶け出し、さらに海水の膨張によって、海面の上昇が起こる。また、気温が上昇すれば、植物の分布状況が変わるなど、生態系に大きな変動が起きる。農作物への被害や砂漠化の拡大など、人間の生存できる環境が大きく損なわれる可能性すらある。こうしたさまざまな予測や石油ショック、『成長の限界』以外にも、「現在の年間エネルギー使用量を続けて、地価のあらゆるエネルギー資源を経済的に採算がたつ限度で使うと126年で資源がなくなってしまう。」という報告がなされるなど、エネルギー問題に対する危機感は強まっている。
今日の人類の最大の課題は、大量のエネルギー消費や食糧生産に伴って生じる地球環境の破壊である。空前の人口増発は、食糧・エネルギーの需要を増大させ、環境の破壊を生み出している、地球環境という土台が崩壊すると、食糧生産もエネルギー生産も壊滅的な打撃を受け、人類の生存そのものが危うくなる。こういった事態を回避するための科学技術と自然系の学問は深いかかわりがあり、地球環境を破壊しない科学技術が求められている。こうした背景からエネルギー問題への現状認識とそれにもとづく解決策が問われるのだ。また、エネルギー問題は地球環境問題と密接な関係を持っている。
エネルギー問題は当初、資源の枯渇の問題として取り上げられてきた。1972年にローマクラブから発表された『成長の限界』モデルは、地球の資源・エネルギーと環境の有限性を強く警告し、世界の関心を集めた。この『世界の限界』の主な主張は次のようなものだった。「食糧・工業生産および人口は幾何級数的に成長し、ついには急速に減少する資源が工業の成長を低下させるにいたる。人口の増加は、食料と医療のサービスの減少による死亡率の上昇によって最終的に低下する」(ロークラブ『成...