相談援助演習

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    資料紹介

    『相談援助演習①』
    「「自己覚知」の必要性について、自身の体験と関連付けて述べなさい」

    資料の原本内容

    『相談援助演習①』
    「「自己覚知」の必要性について、自身の体験と関連付けて述べなさい」
    人とコミュニケーションする際、相手の言葉や行動の受け取り方は一様ではない。ある人が話したことにたいして、否定的に捉える人もいれば、肯定的に評価する人もいる。
    ケースワーカーがクライアントと相対する際も同様である。例えば、ある高齢のクライアントが服薬管理をできていない状況があったとして、「自分の服薬管理もできないとは頼りない」と否定的に考えるケースワーカーもいれば、「高齢で生活能力が低下しているのであるから仕方ない」と考えるケースワーカーもいるであろう。
    人間は自分の考えを当たり前と考える傾向がある。しかし考えは、同じようであっても若干異なったり、大きく異なったりする。このように考えに差異が生じることの当然のことである。それは、人それぞれ価値観が異なるためである。
    我々は、考え方の傾向が人によって異なること、つまり自分と他者は違っているということを理解しなければならない。他者理解とはこういうことであろう。
    これは言うが易いが、実のところ非常に難しい。子供は他者理解について未熟であるが、年齢的に成長するにしたがって、自分と他者の異なりについて理解していく。しかし、大人になったからといって、これがよくできるようになるわけではない。生涯をかけて追求するべきテーマになるようなものだと思う。
    ところで、自分と他者のどちらを知ることが容易かという問題を考えると、どちらであるかは一概には言えない。自分自身はもっとも身近な存在であるものの、客観的に自分のことを理解することはなかなか容易ではない。他者については、客観的に理解しやすいという要素はあるものの、身近な人であっても見えていない部分が多くあり、理解は容易でないというのが経験則である。
    ケースワーカーは対人援助の専門職であり、クライアントと接する機会が多くある。業務を行なううえで、クライアントの状況とニーズを把握することが第一歩である。そのためには、自己とは異なった価値観を持った人としてクライアントを理解するように努めなければならない。これを実践するためには、自己覚知がどの程度できているかが重要となる。
    我々は、自分自身のもつ様々な過去の経験に影響を受けている。自分にとって大切な事柄、好きなこと、考え方は、生得的なものに加え過去の経験によって形成されてきている。自己覚知を深めるためには、それらを分析、統合して理解していくことが必要である。
    就職活動を行なう学生が、自己分析として行なう作業として、例えば過去の経験などを時系列に書き出していくといったことは、自己覚知のための1つのメソッドである。振り返ると、自分自身もそのようなことを授業で行なったことがあるが、あまり自己分析は深まらなかったと思う。フォーマルな書式に記入すると、どうしても身構えてしまって本音が書けない。他者に見せることをつい考えてしまうからかもしれない。
    それよりも、メモ書きのように書いていた日記が有効な自己分析になり、この蓄積が自己覚知につながっていっている。日記の体裁でフリーに書きつづることの方が、自分には向いている。日記を書くことにより、冷静に自分と向き合うことができた経験がある。自己覚知に関しての具体的体験として、ここではこの方法論について述べておくこととする。

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