社会保障2

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    『社会保障2』
    「我が国の公的年金保険制度の具体的内容について述べなさい」

    資料の原本内容

    『社会保障2』
    「我が国の公的年金保険制度の具体的内容について述べなさい」
     わが国の公的年金は、①国民皆年金、②社会保険方式、③世代間扶養、という3つの特徴を持っている。
     ①国民皆年金とは、国民すべてが国民年金制度に加入し基礎年金給付を受ける仕組みである。昭和36年に自営業者等を対象とする旧国民年金制度が発足し、国民皆年金が実現したが、当時は国民すべてを対象にする制度はなく、分立した制度体系をとっていた。そのため、産業構造の変化等によって財政基盤が不安定になったり、加入している制度により給付と負担の両面で不公平が生じていた。昭和60年改正において、全国民共通に給付される基礎年金を創設した。
     ②社会保険方式は、公的年金制度の加入者はそれぞれ保険料を拠出しそれに応じ年金給付を受けとるというものである。基本的には保険料を納めなければ年金はもらえず、納めた期間が長ければ支給される年金も多くなる。公的年金は、強制加入の仕組みをとっている。公的年金は貯蓄のように自分の納めた保険料が利子とともにそのまま返ってくるというものではなく、現役時代の給与の低い人にも一定以上の年金を保障する仕組みとなっており、いわば所得再分配を伴うものとなっている。公的年金の財源としては、基礎年金の給付に必要な費用の2分の1は国庫で負担している。
     ③世代間扶養とは、現役世代の保険料負担で高齢者世代を支えるという世代間扶養の考え方である。これは、各人が私的に行っていた老親の扶養を社会全体の仕組みに広げたものである。年金は、高齢者世代のみならず、若い世代にとっても、自分の親の扶養や自分自身の老後の心配を取り除く役割を果たしている。年金には、個人個人の自立を高め、社会の発展・安定に貢献している側面がある。日本の公的年金制度は戦後積立方式でスタートしたが、その後、現役世代が納めた保険料を原資として老齢年金受給世代に給付されるという賦課方式に事実上移行した。
     公的年金は給付要件別に①老齢年金、②障害年金、③遺族年金の3種類がある。①老齢年金には、国民年金、厚生年金保険、共済組合の年金(国家公務員共済組合等)の3つがある。
     年金制度は、全国民に共通した国民年金(基礎年金)を基礎に、被用者年金・企業年金の3階建ての体系となっているといわれる。
     いわゆる1階部分は、全国民に共通した国民年金である。すべての国民年金制度加入者に共通に給付される年金を基礎年金という。2階部分は、国民年金の上乗せとして、報酬比例の年金を支給する厚生年金、共済年金である。3階部分は、国民年金基金、厚生年金基金、適格退職年金、確定拠出年金、確定給付企業年金等である。
     自営業者や農業者は国民年金のみに加入する。民間の被用者は、国民年金に加え厚生年金にも加入し、公務員等は共済年金にも加入する。自営業者などは3階部分に相当する国民年金基金に任意加入し、年金受給額を増やすことができる。
     公的年金の支給総は平成21年度に50兆円に達し、GDPに対する割合が1割を超えた。年金の受給者数は、3700万人と前年度比で3.1%増え、加入者数は0.9%減の6900万人に減った。

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