佛教大学通信学部 R0111 日本文学概論 第二設題「芥川龍之介の「鼻」を読み、出展と比較して論ぜよ。」B判定 レポートです。 提出後、手は加えていませんので、誤字などに注意してください。 2011年度課題ですので、内容が変わっているかもしれません
芥川龍之介の「鼻」を読み、出展と比較して論ぜよ。
芥川龍之介は、ある時期、王朝物と呼ばれる平安時代を舞台にした作品を好んで書いたが、その中の多くが「今昔物語集」を典拠としている。「鼻」の典拠は、「今昔物語集」の「池尾禅珍内供鼻語第二十」である。
芥川龍之介の「鼻」は、この「今昔物語集」の「池尾禅珍内供鼻語第二十」をほぼ原作のまま使用している作品である。例えば、物語の中心人物が「内供やその弟子」であり、物語の題材が内供の「鼻」を中心としていることなど、物語の流れは同じように感じる。しかし、きちんと比較していくと大きく異なった作品であることがわかる。本レポートでは、両者を比較し、類似点・相違点を考える。
また、以下『今昔物語集・池尾禅珍内供鼻語第二十』は「今昔物語集」、芥川龍之介の書物『鼻』は「鼻」、人間の顔にある『鼻』は鼻と記載する。
1.類似点
まずは「鼻」と「今昔物語集」の類似点を考える。
主人公はどちらも「池の尾に住む弟子がいる僧」であり、「他の人とは違う非常に長い鼻をしている」ことが共通している。物語はどちらもこの僧が「鼻について苦労している様子」が語られる。そして、鼻を「...