評価A
S0101 教育原理 第二設題
『ジョン・ロックにおける子どもの教育論、特に習慣形成や賞罰法を中心に述べよ』
ジョン・ロック(1634~1704)は17世紀に活躍したイギリスの哲学者である。ロックは専制主義への反発や抵抗権・革命権、三権分立や信教の自由といった近代デモクラシー理論を打ち立てた政治学者であるとともに、経験主義を代表するイギリスの哲学者として有名であるが、教育思想家としても独自の教育理論を確立した。
まず、ロックの教育論を考察するに当たって、教育に対する彼の考え方は非常に重要である。というのも、中・近世ヨーロッパにおいては、彼を始めとして多くの教育思想家が活躍したが、彼らの子どもに対する捉え方は、「性悪説」、「性善説」というように大きく分かれており、この捉え方が彼らの教育論に大きく影響しているからである。彼は、子どもを「文字を欠いた白紙」に例え、人間は生まれながらに既に心に観念や原理などが備わっているという「生得観念」を否定し、「人間は先天的な知覚を有なさい状態で生まれてくる(タブラ・ラサ)」という経験主義的な主張を展開している。すなわち、彼は、「人間は生後外部から観念や知...