第二章「存在の問題」第一節「存在の意味」の内容を要約せよ。そして、テキストの内容に即して、自分のコメント・批判を加えよ。
我々は日常生活において「ある=在る」という述語を多く使っている。この「在る」=「存在」ということについて探求・考察したのがアリストテレスである。
彼の全学問の基礎は、存在としての存在を探求する存在論、形而上学にあり、これを第一哲学と呼んだ。彼の師であるプラトンは、存在として目に見える個物は私たちの住んでいる世界(現象界)にあり、その個物の本質は現象界を超えた、非物体的で、普遍・完全・不変・永遠で、目に見えないイデア界(英知界)にあるとした。これに対し、アリストテレスは、本質は目に見えないイデア界にあるのではなく、個物に内在すると考え、存在としての存在の原理・原因を研究したのである。
その研究の中で、彼は、その存在のあり方を実体、性質、分量などの十個の述語形式(範疇)に分類した。例えば、「私は人間である」(実体)、「私は男性である」(性質)、「私は一人である」(分量)などの範疇であり、主語と述語との必然的な結びつきにおける存在を、主語となって述語にはなりえない個物こそ...