日本の年功賃金の現状について
1990年代バブル崩壊後、日本企業はそれまでの年功賃金のあり方を見直し、成果主義賃金に切り替えていった企業が多くみられた。その時代から、一定期間を置いた現在、日本企業における年功賃金の現状を、成果主義賃金と関連させながら述べていく。
まず、バブル崩壊後の日本企業が、なぜ成果主義賃金の導入に踏み切ったかを見ていく。日本社会ではバブル以前から、プラザ合意からの円高で、労働力コストが上昇しており、高コスト構造を抱えていた。しかし、バブル景気による高収入があったため、バブル崩壊まで対策を打つ企業が少なかった。つまり、年功賃金体系を維持できる体力が、企業にはあったのである。そして、バブル崩壊が起こり、高コストである労働力の維持が困難になっていった。バブル崩壊後も、景気後退が長引き、企業の短期的な収益拡大志向が強まり、年功賃金などの日本に定着していた雇用慣行を、見直すべきだという意見が高まってきた。当初は採用の絞り込みによって、雇用の過剰に対処していたが、やがて、それだけでは不十分になった。経営をより効率的にすることや、過剰な雇用を見直すための一環として、大企業を中心に成果主義賃金の導入を進め...