A判定/軍事力増強の著しい中国の海洋進出に焦点を当て、日本の安全保障について考察しています。日米安保だけでなく、日本の防衛についてハード面とソフト面で触れた点について、高評価を頂きました。
※作成時のまま掲載しているので現在と状況が異なる場合もあります。2011年1月作成
中国の海洋進出の目的とその対策
9.11、リーマンショック、国際テロ勢力の増強・拡散など、大国アメリカがアメリカらしくなくなってきた昨今、日本の安全保障はかつてない程に不安定になっている。特に近年の中国の軍事力増強と南西諸島における影響力の増強はその不安定感に拍車をかけるものである。中国の軍事力増強、特に海洋進出の現状と理由をまとめ、これからの時代に求められる日本の安全保障を考察する。
中国の海洋進出と軍事力増強の現状について
防衛省によれば、中国の2010年度の公表国防費は約5,190億元である。これは日本円にするとおよそ7兆2,671億円にも及び、国防費の名目上の規模は21年連続で2桁の成長率を記録している。ただし、中国の国防予算制度等が明らかでないこともあり、米、台湾をはじめとする多くの国々では中国の国防費は公表の1.41~2.50倍と見積もられている。近年、中国の軍事力はハイテク化、情報化が急速に進み、陸、海、空軍、第二砲兵(戦略ミサイル部隊、宇宙技術開発も任務の一端)のそれぞれにおいても軍事変革が示されている。特に、海軍と空軍の近代化には目を見張るものがある。自国で航空母艦を...