憲法論文答案練習人権政教分離

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    資料の原本内容

    憲法論文答案練習 人権
    ~政教分離原則の法的性格~
    【問題】
    政教分離原則の法的原則について論ぜよ。
    【考え方】
     政教分離原則とは、国家の宗教に対する中立性・無宗教性をいう。この政教分離原則については、その法的性格をどう解するかにつき争いがある。
    1)制度的保障説(判例、最判昭和52.7.13津地鎮祭事件)
     ・・・政教分離原則が、国家の宗教への不関与という意味で制度の積極的な保護を国家に義務付けていること、20条1項、3項等の名宛人がもっぱら国・地方公共団体であること等を根拠として、制度的保障であるとする見解。
    2)人権説
    ・・・信教の自由の保障を弱める恐れがあること等を根拠として、「人権」であるとする見解
    3)制度説
     ・・・政教分離原則の人権性は不明確ではあるが、他方、積極的な制度の創設でもないこと等を根拠として、人権でも制度的保障でもない別個の「制度」であるとする見解
    【答案例】
     政教分離原則とは、国家の宗教に対する中立性・無宗教性をいい、わが憲法も20条、89条後段でかかる政教分離原則を定めている。この政教分離原則は、国家とある特定の宗教が結びつくことにより他宗教への圧迫、宗教自身の堕落を招きかねないこと、絶対的価値観を前提とする宗教と多元的価値観を前提とする民主主義とが本来的には相容れないこと等から、わが国のみならず多くの諸外国でも広く採用されている原則であるが、その法的性格をいかに解するかについて争いがある。
     この点について、政教分離原則がいわゆる制度的保障であるとする見解がある。しかし、この制度的保障であるとする見解がある。しかし、この制度的保障論は、人権が法律の範囲で保障されるとする「法律の留保」型の人権保障の体系の下では大きな意義を有したものの、かかる「法律の留保」を認めないわが国の憲法下では、人権保障をいう見地からどれだけの有用性が認められるか疑問であるし、のみならず、かえって人権を制度によって義務付け拘束するといった本末転倒の議論が生ずるおそれさえある。そこで、わが憲法下では、制度的保障を認めるとしてもその要件は厳密に考えるべきであるとし、結局、①制度の内容が歴史的・客観的に定まっていること、②制度と人権が理論的にも合目的的にも密接な関係があること、③積極的な制度の創設にかかわることの3要件を満たしてはじめて制度的保障であると考えるべきである。
     しかるに、宗教分離原則は一定の制度を忌避するものであっても、積極的な制度の創設にかかわるものではない。したがって、政教分離原則を制度的保障と考えることはできない。
     しかし、かといって端的に人権であると考えることも妥当でない。なぜなら、人権といってもその具体的内容も、信教の自由と異なった独自の人権性がどのような点に認められるかも不明確だからである。
     そこで、思うに憲法20条3項の文言を素直に読む限り、政教分離原則は、あくまで国家に対して宗教との関わりを禁ずる法原則であると言わざるを得ない。したがって、前述の制度的保障説及び人権説に対する疑問を考慮すれば、制度的保障とは異なるものの人権ではなく、一種の「制度」と解するべきである。
    以上
    ~国家と宗教に要求される分離の程度~
    【問題】
    【考え方】
    【答案例】

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