科目最終試験 法学概論

閲覧数1,096
ダウンロード数13
履歴確認

    • ページ数 : 6ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    資料の原本内容

    成年後見制度・任意後見制度について説明せよ。
    成年後見制度は精神上の障害(知的障害、精神障害、痴呆など)により判断能力が十分でない方が不利益を被らないように家庭裁判所に申立てをして、その方を援助してくれる人を付けてもらう制度です。また、成年後見制度は精神上の障害により判断能力が十分でない方の保護を図りつつ自己決定権の尊重、残存能力の活用、障害のある人も家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会を作るという、ノーマライゼーションの理念をその趣旨としています。よって、仮に成年後見人が選任されてもスーパーでお肉やお魚を買ったり、お店で洋服や靴を買ったりするような日常生活に必要は範囲の行為は本人が自由にすることができます。
    任意後見制度は本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に、将来自己の判断能力が不十分になったときの後見事務の内容と後見する人(任意後見人といいます)を、自ら事前の契約によって決めておく制度です(公正証書を作成します)。なお、任意後見制度での家庭裁判所の関与は、本人があらかじめ選任しておいた任意後見人を家庭裁判所が選任した任意後見監督人を通じて監督するにとどまります。
    任意後見契約においては任意後見人を誰にするか、どこまでの後見事務を委任するかは話し合いで自由に決めることができます。ただし、一身専属的な権利(たとえば、結婚、離婚、養子縁組など)については任意後見契約に盛り込むことはできない。
    日本国憲法の精神的自由権について論じよ。
    自由権は、基本的人権の一つで、国家から制約を受けるまたは強制されずに、自由にものを考え、自由に行動できる権利のことをいう。精神的自由権とは、思想・良心の自由や信教の自由、表現の自由、学問の自由などが含まれる。
    思想・良心の自由…思想・良心の自由は個人の世界観、人生観、主義、主張など、人格を支える内面的な精神作用を制限せずにどのような思想を持ってもよい自由を言う。これは憲法第19条の文「思想および良心の自由はこれを侵してはならない」として日本国憲法の中で保障されている自由である。個人の思想が内面にとどまっている限りはいかなる理由によっても制約されず、たとえ国家権力といえどもこれに干渉することは許されないとされている。
    信教の自由…信教の自由とは特定の宗教を信じる若しくは信じない自由のことである。これはどんな人でもキリスト教を信じて良いし、仏教を信じて良いし、またはどの宗教も信じなくて良いということを保障している自由である。これは憲法第20条第1項「信教の自由は何人に対してもこれを保障する」として、憲法によって保障されている。
    表現の自由…個々の言論活動を通じて、自己の人格を形成していくことと、政治的意思決定に関与していくという民主政に不可欠なことがある。民主主義にあっては、政治上の意思決定は終局的には市民によってなされることとなるが、適切な意思決定をなすには、その前提として十分な情報とそれに基づく議論が必要となる。情報を得、また議論をなすためには表現の自由は必要不可欠な権利である。日本国憲法第21条第1項において「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と規定されている。
    学問の自由…研究・講義などの学問的活動において外部からの介入や干渉を受けない自由のことをいう。日本国憲法第23条は学問の自由を保障する旨を明示にて規定する。この内容について、通説では研究の自由、研究発表の自由、教授の自由、および大学の自治が含まれるとされる。これが為、大学に対しては学習指導要領の適用はなく、また大学対象の規程も存在しない。
    相続の原則(相続人・相続分等)を解説した上で、非摘出子の相続について論じよ。
    相続とは、自然人の財産などの様々な権利・義務を他の自然人が包括的に承継すること。一般的には、自然人の死亡を原因とするものを相続と称することが多いが、死亡を原因としない生前相続の制度(日本国憲法が施行される前の日本における家督相続は、死亡を原因とする場合もしない場合も含む)も存在する。相続に関する規定には遺言により民法の規定と異なる定めをすることができる任意規定が多く含まれる一方、遺留分規定のように遺言での排除を許さない強行規定も存在する。
    相続人とは、被相続人の財産上の地位を承継する者のことを相続人という。またこれに対して相続される財産、権利、法律関係の旧主体を被相続人という。相続開始前には、推定相続人といい、被相続人の死亡による相続開始によって確定する。相続人となる者は、被相続人の子・直系尊属・兄弟姉妹及び配偶者である。相続人となり得る一般的資格を相続能力といい、法人は相続能力を持たないが、胎児は相続能力を持つ(886条)。被保佐人が相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をするには、その保佐人の同意を得なければならない(13条)。
    子と配偶者が相続人…子が2分の1、配偶者が2分の1。※配偶者が死亡している場合は子が全部相続。
    父母と配偶者が相続人…配偶者が3分の2、父母が3分の1。※配偶者が死亡している場合は父母が全部相続。
    兄弟姉妹と配偶者が相続人…配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1。※配偶者が死亡している場合は兄弟姉妹が全部相続。
    非摘出子の配分は、摘出子の2分の1になります。例えば配偶者と子供(摘出子)1人と子供(非摘出子)1人の場合には、配偶者が2分の1、子供(摘出子)は6分の2、子供(非摘出子)は6分の1になります。
    行政活動によって生じた国民の権利・利益の侵害に対する救済制度について解説せよ。
    行政活動は法律に定めるところにより法律に従って行わなければならないという基本原理がある。行政活動は規制的・権力的な手法を伴っており、この基本原理は権力の濫用を防ぎ、恣意的な行政活動から国民を守るために、種々の行政活動に法律の根拠を求めるものである。しかし、法律の適用を誤ったり、違法、不当な行政活動によって、国民の権利・利益が侵害される場合がある。また、適法な行政活動であっても国民の権利・利益を侵害することがある。そのような場合に、国民の権利・利益の侵害に対する救済制度があり、行政活動の違法か適法かを問わず、権利・利益の侵害から国民を救済するための手段が行政救済制度である。
    行政処分に対しての不服がある者は、その違法・不当な処分の取り消しを求めことが起こる場合がある。このような「行政不服審査」制度による手続きは、国や自治体自身が「簡易にして迅速」なしかも略式の手続きによる権利救済をめぐる争いを解決し、あわせて行政運営の適正化を図る二つを目的として掲げている。この制度の種類は三種類を規定し、その違いは不服申したて先の違いにある。
    その種類として、異議申し立て:処分を行った行政庁、または不作為に関る行政庁に不服申し立てを行う事を指す。不作為庁とは、処分すべき行政庁を指しているから、この場合処分庁と不作為庁は同一の行政庁となる。審査請求:処分庁または不作為庁以外の行政庁に対して行う不服申し立てを審査請求という。再審査請求:審査請求の裁決に対する不服申し立てを指す。これは法律や条例に再審査請求を認める規定がある場合等、限定的に認めている。などがある。
    行政事件訴訟による権利救済制度は、行政機関内部の権利救済に関る「不服申し立て」とは異なり、「行政事件訴訟」の制度は、憲法第三二条の保障する「裁判を受ける権利」の具体化であり、裁判所を通じて権利救済を行う制度である。行政事件訴訟法の定める訴訟は4種類に分けられ、抗告訴訟・当事者訴訟は主観訴訟、民衆訴訟・機関訴訟は客観訴訟に属される。その中でも抗告訴訟がその中核となり、「処分取り消し」の訴訟が大半を占める。抗告訴訟:「行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟(行政事件訴訟法・第三条)」を指す。 当事者訴訟:抗告訴訟が「公権力の行使」をめぐり争うのに対し、対等の立場にある当事者同士が公法上の法律関係を争うものである。民衆訴訟:「国また公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他の自己の法律上の利益に関らない資格で提起するもの(行政事件訴訟法・第五条)」を指す。期間訴訟:「国または公共団体の機関相互間における権限の存否、またはその行使に関する紛争についての訴訟(行政事件訴訟 第六条)」であり、国民が提起するものではない。
    これらが救済制度である。
    損害賠償責任はどのような場合に発生するか
    損害賠償とは、主に民法や民事紛争における法律用語である。違法な行為により損害を受けた者(将来受けるはずだった利益を失った場合を含む)に対して、その原因を作った者が損害の埋め合わせをすること。適法な行為による損害の埋め合わせをする損失補償とは区別される。または埋め合わせとして交付される金銭または物品そのものを指すこともある。この責任を負うことが損害賠償責任である。
    近代以降の法律においては民事紛争と刑事紛争とが峻別されるようになり、また、人権意識も向上したため、金銭賠償が原則とされるようになってきている。
    債務不履行に基づく損害賠償
    債務不履行とは、債務者が契約などに基づく債務を自ら履行(弁済)しないことをいい、債務不履行の場合には、法律上の効果として、強制履行や契約の解除などの問題とともに損害賠償の問題が生じる。民法は415条で、債務者がその債務の本旨に従った履行をしない場合(同条前段)、債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなった場合(同条後段)に債権者は損害賠償請求をすることができるとしている。伝統的な考え方では債...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。