色彩学
「色彩の感情効果の分類と特徴について」
色は心理的影響を与えるため、色には感情があるといわれている。色には、識別の働きと情動の働きとがある。識別の働きとは、色がサインとして作用し、そこからある感情が生じる働きである。また、情動の働きとは、色自体が直接に感情的な反応を引き起こす働きであり、感情効果である。色の感情効果は、「知覚感情」と「情緒感情」に大きく分類して考えられる。
「知覚感情」は、人の視覚系の本来もっている特性にもとづくもので、全ての人がもつ感情効果であり、「固有感情」とも呼ばれる。「情緒感情」は、好きや嫌いなどの個人差がある感情効果であり、「表現感情」とも呼ばれる。
「知覚感情」でもっとも代表的なのは「色の寒暖感」であり、「暖色と寒色」(図1)という温度感である。暖色は暖かく感じられる色、寒色は冷たく感じられる色のことをいう。暖色系は太陽や火を連想させる赤、橙、黄などで、寒色系は水、氷などを暗示させる青、青緑、青紫などである。同じ室内の温度でもオレンジのカーテンとブルーのカーテンではオレンジの方が暖かく感じられる。また、どちらとも言えない色もあり、緑や紫は「中性色」といい、...