1 はじめに
このレポートは、古事記と日本書紀の内容的相違や、両文献研究の歴史的変遷を示した『古事記と日本書紀』(神野志隆光著 講談社現代新書)を基に、本著の批評、そしてその批判の根拠となった事実の理由を考察したものである。
このレポートの流れとしては、まず2章で本著を要約する。それをうけて3章では、本著の記述について否定を行う。そして否定した根拠となる歴史的事実がなぜそのようになったのかということを考察する。最後に4章で、3章に述べた私の主張を要約する。
2 本著の要約
古事記、日本書紀ともに古代日本において書かれた文献である。その内容はどちらも天皇の世界がどのように成り立ったのかを語るものであるがその内容は2つの文献において相違が見られる。日本書紀においては世界の始まりから神武天皇までの概要は次のようになっている。
当初世界は渾沌としたものであった。その中から天地が分かれ、様々な神が誕生しやがて、イザナキ・イザナミという2柱の神が誕生した。2柱は協同して大八洲の島々や山・川などを生み、日神(アマテラス)・月神・ヒルコ・スサノオを生む。スサノオは乱暴者でアマテラスを石窟にこもらしてしまう。そのためアマテラスが治めていた地上は乱れてしまった。その間にスサノオは追放され、出雲におりてヤマタノオロチを退治する。その後クシナダヒメと結婚しオオナムチを生む。天ではウケイとアマテラスとの間にアメノオシホミミが生まれる。
古事記と日本書紀
1 はじめに
このレポートは、古事記と日本書紀の内容的相違や、両文献研究の歴史的変遷を示した『古事記と日本書紀』(神野志隆光著 講談社現代新書)を基に、本著の批評、そしてその批判の根拠となった事実の理由を考察したものである。
このレポートの流れとしては、まず2章で本著を要約する。それをうけて3章では、本著の記述について否定を行う。そして否定した根拠となる歴史的事実がなぜそのようになったのかということを考察する。最後に4章で、3章に述べた私の主張を要約する。
2 本著の要約
古事記、日本書紀ともに古代日本において書かれた文献である。その内容はどちらも天皇の世界がどのように成り立ったのかを語るものであるがその内容は2つの文献において相違が見られる。日本書紀においては世界の始まりから神武天皇までの概要は次のようになっている。
当初世界は渾沌としたものであった。その中から天地が分かれ、様々な神が誕生しやがて、イザナキ・イザナミという2柱の神が誕生した。2柱は協同して大八洲の島々や山・川などを生み、日神(アマテラス)・月神・ヒルコ・スサノオを生む。スサノオは乱暴者でアマ...