「終身雇用」「年功序列」「企業別組合」等々の属性によって特色づけられる日本型組織は、戦後日本の高度経済成長を推し進めてきた原動力である。いわゆる「資本」である企業側が収益を独占しては、結果として自分の首を絞めると気付いたきっかけが世界恐慌であり、そこから生まれた概念が「労使協調」の立場である。これは企業が労働組合と協力して企業の利潤を上げ、結果として労働者の取り分を増やそうとするものであり、我が国では第一次、第二次のオイルショックを乗り越え、日本の産業を世界市場における優位的な位置に押し上げる有効なシステムであった。しかし、日本の産業的成功はそれに続くバブル経済の高揚と破綻とによってその様相を一変させた。特にバブル崩壊後に現れた「不良債権問題」や「官庁と企業の癒着問題」などが白日の下にさらされ、これらの原因が「日本型組織にある」と見なされた。「日本式経営システムの解体」は日本型人事を否定し、いわゆる「リストラ」という名の人員整理が大手を振ってまかり通ることとなったのである。特に労使協調の立場はいつしか組合と経営側が馴れ合う手段に陥り、経営側が労働者を管理するための機関と化す、いわゆる...