基礎実習レポート 1-5 錯滴定
実験実施 2010/05/07
提出 2010/05/12
Ⅰ.目的と概要
容量分析用標準液0.02mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液(第14改正日本薬局方、p.190)の調製ならびに標定を行うとともに、この標準液を用いて、パラアミノサリチル酸カルシウムのカルシウム含量の定量(第14改正日本薬局方、p.608)を行うことにより、本定量分析法の正しい操作法を習得する。
Ⅱ.原理
テキストに準ずる。
Ⅲ.実験手順
1)0.02mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液
<調製>
秤量したエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムニ水和物7.445gおよび2%硫酸マグネシウム水溶液10mLに水を加えてが溶かし1000mLとし、ポリ容器に保存した。栓をしてからよく振り混ぜた。
<標定>
三角フラスコに亜鉛標準液(3.00624mg/mL)10mLをホールピペットで正確に量りとり、pH10.7のアンモニア・塩化アンモニウム緩衝液5mLおよびエリオクロムブラックT・塩化ナトリウム指示薬をスパーテル3さじ分加え、調製したエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液でビュレットを用いて液の赤紫色が青紫色に変わるまで滴定した。滴定に要したエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液の体積はそれぞれ1回目が25.99mL、2回目が25.96mLであり、平均すると26.14mLであった。この数値からファクターを求めた。なお、ファクターは有効数字を考慮して、小数点以下4桁まで求めた。
2) パラアミノサリチル酸カルシウム(PAS・Ca、C14H10Ca2N2O6・7H2O)の定量
秤量したPAS・Caは0.2101gであった。これに、水60mLおよび希塩酸1.0mLを加えて、ガスバーナーで加温して溶かし、冷却後100mLのメスフラスコに移し蒸留水を加えて正確に100mLとした。栓をしてからよく振り混ぜた。
この液20mLを正確に量り、水30mL、pH10.7のアンモニア・塩化アンモニウム緩衝液2mLおよびエリオクロムブラックT・塩化ナトリウム指示薬(1さじ)を加え、0.02mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液でビュレットを用いて二回滴定した。滴定終点は液の色が赤紫色から青色になる点とし、滴定に要した0.02mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液の体積は9.63mL(1回目)、10.11mLであった。この数値からカルシウム含量(%)を求めた。
Ⅳ.結果
実験で得られた数値を用いて、以下の①、②式により、調製した0.02mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液(以下EDTA液)のファクターを求めた。
平均をとって、
次に、次式によりパラアミノサリチル酸カルシウム中のカルシウム含量(%)を求めた。
0.02mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液1mL =0.8016mg Ca
平均をとって、求めるカルシウム含量は16.66(%)
Ⅴ.考察
0.02mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液の調製において、ファクターが大きくずれてしまった原因として考えられるのは、ポリビンの1000mLの目盛りが不正確であったことである。目盛りが不正確であったために、実際は1000mLより多くの水を加えてしまったと考えられる。秤量カップからメスフラスコにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を移す際には細心の注意を払い、十分洗いこんだので水の入れすぎが原因だと考えるのが妥当である。また反応の終点は、実験操作の項目で述べたように、見た目で判断するため実験者の主観的にな判断を結果として扱うことになる。また、終点付近においてはわずか半滴~1滴で指示薬の色が急激に変化するため、当量点を正確に判断するのは困難である。したがってエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液を滴下しすぎたことでファクターが小さくなった可能性が考えられる。
パラアミノサリチル酸カルシウム(分子量508.51)1molあたりカルシウム(分子量40.08)は2mol含むので、カルシウム含量の理論値は、以下の式によって求めることができる。
今回の定量でこの値とずれが生じたのは、メスフラスコでメスアップする際に、わずかに100mLを超えてしまったことが考えられる。また前述のように、人の目で滴定終点を判断するためエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液の滴下量が多かった可能性や、算出したエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液のファクターに誤差があるという可能性も考えられる。
Ⅵ.参考
山口政俊ほか編,パートナー分析化学Ⅱ,南江堂,2007,321p
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