ガリレイの生涯
この戯曲を読む前に、私が抱いていたガリレオ・ガリレイのイメージは、頑固で頑なに自分の考えを貫き通そうとする、そんなイメージだった。それはあの有名な「それでも地球は回っている」という名言の印象が強かったからだ。しかし、この作品で描かれているガリレイが、「それでも地球は回っている」などという場面は書かれていない。この言葉はローマでの異端審問裁判の判決の時に口にしたとされているが、もし、実際にこの言葉を言っていたとしたら火あぶりの刑に処されていてもおかしくないだろう。ということは、伝説として語り継がれてきた逸話なのかもしれない、と思った。いずれにせよ実際のガリレイが言ったかどうかは別にして、このブレヒトの作品の中でのガリレイは、そのようなことは言いそうにない、そんな印象を受けた。きっとブレヒトも、彼の思うガリレオ像には似合わない発言だと思って省いたのだろう。でなければガリレイの代名詞ともいえる名言を取り入れないはずがない。
ガリレイの生涯
この戯曲を読む前に、私が抱いていたガリレオ・ガリレイのイメージは、頑固で頑なに自分の考えを貫き通そうとする、そんなイメージだった。それはあの有名な「それでも地球は回っている」という名言の印象が強かったからだ。しかし、この作品で描かれているガリレイが、「それでも地球は回っている」などという場面は書かれていない。この言葉はローマでの異端審問裁判の判決の時に口にしたとされているが、もし、実際にこの言葉を言っていたとしたら火あぶりの刑に処されていてもおかしくないだろう。ということは、伝説として語り継がれてきた逸話なのかもしれない、と思った。いずれにせよ実際のガリレイが言ったかどうかは別にして、このブレヒトの作品の中でのガリレイは、そのようなことは言いそうにない、そんな印象を受けた。きっとブレヒトも、彼の思うガリレオ像には似合わない発言だと思って省いたのだろう。でなければガリレイの代名詞ともいえる名言を取り入れないはずがない。
ブレヒトの描いたガリレイは、純粋に研究が好きで、科学を探求することに幸福を覚える、典型的な学者気質の人間である。彼は全てを、世界そのも...