RB経路における遺伝子の転写
序論
細胞増殖を制御し、癌の抑制に大きな役割を果たしているとされるものでRB経路を挙げることができる。このRB経路において転写因子pRbおよびE2Fは密接な関係を持っていることが明らかになっている。本論ではこれらやその他の因子がどのようにして癌の発現を抑制し、正常な遺伝子の発現に関与しているのかを見ていきたいと思う。
本論
はじめに、癌抑制遺伝子(anti-oncogene)とは通常では発現していて、その機能が冒されることによって発現が止まり細胞が癌化する、または癌化の方向に向かうような一群の遺伝子である。すなわち、これら遺伝子の正常な発現が、細胞の自律的増殖を防いでいると考えられる。癌抑制遺伝子にも様々な機能のものがあり、これらの多くは細胞周期を負に制御している。これを正の方向に回転させるように働くのが癌遺伝子である。
癌抑制遺伝子には、様々な機能を持つものが存在するが、増殖制御にはたらく最も有名なものの一つに、RB遺伝子がある。RB遺伝子は1986年に小児に発生する網膜芽細胞腫の原因遺伝子として発見され、染色体上13q(第13染色体長腕)の位置か...