★情報源について
「放射能発言」の不確かさは、記事の書き方にも表れている。毎日を除く各社の記事は、鉢呂氏の発言が「わかった」「明らかになった」「判明(した)」と、間接情報として伝えている。しかしいずれの社の記事も、この間接情報を誰から入手したのか、誰に確認したのかについても、一切触れていない。事実関係の確認ができていないから、鉢呂氏の発言の真意や言い分も伝えられていない(取材もしていない)。にもかかわらず、鉢呂氏を批判する福島県民や政治家の反響は大々的に報じている。これらの反響を集めた記者は、福島県民や政治家の取材対象に、鉢呂氏の発言をどのように説明したのだろう。取材が公正、公平であったとはとても思えない。
こうした報道が行われた最大の原因は、ニュース取材のイロハがいとも簡単にないがしろにされたためである。情報を確認し、検証する作業を怠った。批判する報道対象の真意や言い分を正すこともしなかった。記事を書く際に必要不可欠の要素である情報源を明示することも無視した。ニュースの正確さに対する配慮はもとより、公正さを担保する気配りも欠いていた。
問題をさらに悪くしたのが、メディアの横並び体...