★メディアの変遷について
帰国後『日本文学史』を著した英国の外交官W・アストン(滞日1864‐89年)
「日本人は、単に借用することで決して満足しない。美術においても、政治組織においても、宗教においてさえも、他国から採り入れたものは何でも広範囲にわたって修正を施し、それに国民精神の刻印を押すという修正を持っている」と記した。p5
知的好奇心、その前提となる識字率(リテラシー)の高さ、外国文化受け入れへの柔軟性、模倣能力の四点について指摘。この四つは、明治以降現代に至るまで、日本人のメディア受容について一貫して妥当する特性であり、結果的に現在、日本では、世界でも最先端の情報環境が作り出された。と同時に、いつまでも海外のイノベーターの追随者の地位に甘んじ、技術面でトップに立っても、そこから先の方向性を見失ってしまう日本人の原型を形づくったともいえるのではないだろうか。p6
キリシタン版は1610年ごろまで刊行が続けられたが、キリシタンへの弾圧が激しくなるにつれ刊行が先細り、印刷機はマカオに移送。和書の場合、縦書きの崩し字を活版で印刷するのは困難を極める。そのため、江戸時代の主流は木版製版...