刑法事例演習教材
17 逆恨み
モデル判例:東京高判H20・5・19。
参考:最決S62・3・12、最決H12・2・17、最決H14・9・30、最判S33・10・14、最決S34・8・27、最判S41・3・24。
・業務妨害罪…「業務」と公務、妨害の手段、抽象的危険犯。
・脅迫罪…被害者は誰か。
・公務執行妨害罪…「暴行」の定義。
※保護法益・構成要件を確認。
※構成要件にはすべて当てはめをすること。
デタラメな内容の110番通報を合計30回にわたって繰り返した行為について
甲は、まったくデタラメな内容の110番通報を合計30回にわたって繰り返し、そのつど、指令を受けたA市警察署のパトカーによる緊急出動をさせた。このことにより、正常な110番通報を受け付けてパトカーを緊急出動させる業務が妨害された。偽計業務妨害罪が成立するか(233条)。本罪の「業務」に公務が含まれるか、問題になる。
偽計業務妨害罪の保護法益は、個人の社会活動の安全である。そのため、本罪の「業務」には、公務は含まれず、公務執行妨害罪のみが問題となるとも考えられる。しかし、公務も、公務員個人の社会活動の側面があるので...