権利能力なき社団につき論じなさい。(2011年度第1課題、評価A)
1、権利能力なき社団とは
権利能力なき社団とは、社団の実体を有する団体ではあるが、法人格を与えられていない団体をいい、民法上に明文の規定は存在せず、組合と社団法人の二つの類型が規定されている。権利能力なき社団の行為の外部関係を論ずるには、民法上の規定を類推適用する必要がある。この点、権利能力なき社団は、法人格を欠くが社団としての実体は存在することから、できる限り社団法人の規定や趣旨を近づけて扱うべきである。また、内部関係については、民法上の組合と比較できるといえる。
2、権利能力なき社団の成立要件
権利能力なき社団の成立要件として、最高裁は、①団体として組織を備えていること、②多数決の原則が行われていること、③代表の方法、総会の運営、財産管理、その他団体として主要な点が確定していることとしている(最判昭39.10.15)。
これに対して、民法上の組合(民法第667~688条)は、当事者が組合契約によって組織され、全員が共同事業のために財産または労務を出資し、組合員の除名・変更や組合契約の追加・変更等は、組合員全員の一致を必要としている。これらのことから、社団は団体性が強い...