第2課題 第3設題
斎藤喜博の思想の特徴は、まず、初期段階においては子どもたちに「自己完成」と「主体性」を望み、後期になると子どもの「可能性を生かす」教育を目指したことが挙げられる。斎藤は、処女作『教室愛』において「元来素質的に悪い子どもの進歩には確かに限界がある」、「自分の力に応じ、自分の持ち場で良心的に最善を尽く」す、という記述をしている。増田翼は、この部分を初期の斎藤の人間観・教育観の表れであると捉え、それを「人間の持って生まれた素質には違いがあることを認めたうえで、一人ひとり個に応じた生き方があるという人間観」とまとめている。斎藤は、個々の自己をそれぞれに合った形で完成させることが、主...