A会社の100%出資で設立されたB会社は、A会社とのみ取引をしていたところ、A会社はB会社から購入していた部品を海外から輸入するとともに、B会社の閉鎖することを決定し、取引も停止した。
この結果、B会社は倒産やむなきとなり、全従業員に解雇の通告をした。
これに対し、B社従業員で組織する労働組合Xは、①解雇撤回、②組合員の雇用保障を求めて、A会社に対して団体交渉を申し入れた。しかし、A会社は、B会社従業員とは何らの法的関係にはなくしたがってX組合との関係では「使用者」に該当しないとして、当該団体交渉申し入れに応じなかった。
このA会社の主張は認められるか。
労働法
設問
A会社の100%出資で設立されたB会社は、A会社とのみ取引をしていたところ、A会社はB会社か
ら購入していた部品を海外から輸入するとともに、B会社の閉鎖することを決定し、取引も停止した。
この結果、B会社は倒産やむなきとなり、全従業員に解雇の通告をした。
これに対し、B社従業員で組織する労働組合Xは、①解雇撤回、②組合員の雇用保障を求めて、A
会社に対して団体交渉を申し入れた。しかし、A会社は、B会社従業員とは何らの法的関係にはなく
したがってX組合との関係では「使用者」に該当しないとして、当該団体交渉申し入れに応じなかっ
た。
このA会社の主張は認められるか。
1)労働組合法(以下「労組法」)は、「使用
者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をする
ことを正当な理由がなくて拒むこと」(団交拒
否)を「不当労働行為」の1つとして禁止し(7
条2項)、使用者に誠実団交応諾義務を課してい
る。
本件A社は、B社の親会社であり、B社の労働
者との間に直接の労働契約関係は存しないこと
を理由に、団交を拒否しており、これが不当労
働行為に該当するかが問題となる。この問題を、
労組法に...