近年の子ども達の発育・発達状況や心の問題を踏まえつつ、これからの体育科の役割について述べなさい。
「はじめに」
近年、子ども達の発育・発達は、食生活の変化や技術の進歩により、良くも悪くも変化を遂げている。
文部科学省が行っている「体力・運動能力調査」によると、子どもの体力・運動能力は、昭和60年ごろから現在まで低下傾向にある。しかし、一方で身長や体重など子どもの体格については、上回る結果となっている。例えば、現在の小学6年生は、親の世代にあたる30年前の小学6年生と比べて、男女とも身長は約3センチ高くなり、体重は男子が約3キロ、女子は約2キロ重くなった。ところが運動能力は逆に、50メートル走では男子が0秒11、女子も0秒15遅い。ソフトボール投げは男子で3メートル以上、女子も2メートル以上劣っている。
このように、体格が向上しているにもかかわらず、体力・運動能力が低下していることは、身体能力の低下が深刻な状況であることを示しているといえる。子どもの体力の低下は、将来的に国民全体の体力低下につながり、生活習慣病の増加やストレスに対する抵抗力の低下などを引き起こすことが懸念されている。
子どもの体力低下の原因は、保護者をはじめとする国民の意識の中で、外遊びやスポーツの重要性を学...