高学年における鑑賞指導の学習過程のポイント
「親しみのある作品」
鑑賞作品:
『秋冬山水図(しゅうとうさんすいず)』
雪舟筆 東京国立博物館蔵
選んだ理由:
『秋冬山水図』は、高学年の児童の学習する水墨画の導入として、自分なりの想像力を働かせて表現ができるようにするための鑑賞教材として適しているものと考える。本作品は、国宝であり、わが国固有のよさや美しさを醸し出している美術作品である。伝統と文化を尊重する態度を身につけさせることができるものと考え、選んだ。また、児童が実際に行ける範囲にある国立博物館は、日本最古の博物館であり収蔵数は11万件を超えるため、高学年の児童にぜひ行ってみてほしい博物館である。
表現意図:
秋冬山水図は、水墨画であり、また山水画でもある。冬の景色を墨と紙と筆のみで表現した作品である。水墨画は、墨のみで表現する絵画であり、濃淡やにじみ、かすれ、ぼかしなどの表現方法を用いる。この絵においては、トーンや濃さ、線の強さなどで遠近を表現し、奥行きを出している。山や湖などが描かれている水墨画を、「山水画」という。山水画は中国が発祥であり、現実の風景を描いたものもあるが多くは想像上の風景を描いている。本作品は...