優、A評価。江戸時代の離婚について。教科書準拠。
日本法制史
設問:江戸時代の離婚について
1)江戸時代の法体系では、武士の婚姻・養子
縁組に、主従関係維持のため藩や幕府が干渉し
た例に見られるように、武士と庶民とで適用さ
れる法が異なることがあった。
武士の離婚は、婚姻や縁組に較べれば厳しい
規制がある訳ではなかったが、幕府や藩へ離婚
にかかる協議が成立した旨を届け出る必要があ
るとされており、あくまで協議離婚の体裁がと
られていた。他方、庶民の離婚は、夫の専権的
なものであると考えられていたが、近時従来の
説について再検討を主張する見解が主張されて
いる。そこで、この点に留意しつつ江戸時代の
離婚を検討する。
2)庶民の離婚は、夫が妻またはその父兄に対
して、俗に「三行半」と呼ばれる離縁状を交付
する方法により行われた。律令制下においても、
これに類似する離婚形態である「棄妻」があっ
たが、棄妻を行うためには、妻の姦通等の「七
出の杖」と呼ばれる事由のいずれかが必要であ
り、また原則として夫は自分の尊属の同意を得
たうえで「手書」を役所に提出することが必要
だった。
この点、棄妻の要件と比較すれば、江戸時代
の三行半は、従前の有力...