一般的にはこの経済政策を行う主体は政府、国家であるとされている。政府は基本的に、公共サービスの提供などの直接的な経済活動をもって市場に関与するほか、法律・行政指導などによる規制をもって民間部門の活動に間接的に介入する。なぜ政府が一般的な政策主体と見なされるかというと、政策の立案や実施、予算編成などに実際に大きく関わるのは政党や政治家であるためである。具体的には政策は内閣の行政責任によって立案され、国民の権利・義務に重要な影響を及ぼす限度において、国会による所要の立法措置を経て実施される。
本来、資本主義的市場経済はいかなる場合であっても、最終的には市場メカニズムによって正しい方向へ向かうものであるとされている。それ故に市場機構への外部からの介入を行うことは好ましくないことであると言われてきた。下手に手を出すと、市場機構の上で成り立っている民間企業の生産活動と、それらの活動の相互調整に支障をきたしかねないからである。確かに経済は自立的な事象であるため、一度発生すればシステム自体は成立し続ける。だが実際には資本主義的市場経済はそれほど万能ではない。市場機構の手に負えない事態、例えば非効率的な資源配分や所得・資産の不平等、景気の悪化もしくは停滞などが発生した場合には、そこに何らかの対...