系列位置効果(暗記学習)

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    資料紹介

    実験手続き

    保持項数法 実験者は被験者に8枚の無意味綴の書かれたカード(以下カード)を2秒ずつ提示し覚えてもらう。その後提示されたカードをすべて思い出してもらい、実験者は被験者の思い出した音節を全部(正答、誤答にかかわらず)思い出した順序に記録する。30秒間経ったら思い出すのをやめさせ、今度はカードを提示する順番を変えて同様なテストを行う。このような手続きを被験者が全部の音節を1回で正しく思い出せるようになるまで続けるが、15回行っても全部を正しく思い出せない場合はそこで実験を打ち切る。このようにカードの提示順序にかまわず、どれだけの項目が覚えられたかを調べる。

    系列予言法 まず実験者は被験者に1系列8枚のカードを2秒ずつ提示し順序通り覚えてもらう。2回目以降同じカードを同じ順序で提示し、見せているカードの次のカードが何であったかを、次のカードが提示されるまでに次々と答えてもらう。実験者は被験者の思い出した音節を全部(正答、誤答にかかわらず)記録する。学習は被験者が1系列を全部正しく予言できるようになるまで続けるが、30回行っても全部を正しく予言できない場合はそこで実験を打ち切る。

    対連合法 まず実験者は被験者にアルファベットのカードと無意味綴のカードが対になった1系列のカード(8対計16枚)を2秒ずつ提示し対で覚えてもらう。次にアルファベットのカードを見せているときにその対の無意味綴のカードが何であったかを、次のカードが提示されるまでに次々と答えてもらう。実験者は被験者の思い出した音節を全部(正答、誤答にかかわらず)記録する。次の試行からはカードの順番を変えて予言してもらう。学習は被験者が1系列を全部正しく予言できるようになるまで続けるが、30回行っても全部を正しく予言できない場合はそこで実験を打ち切る。

    資料の原本内容

    暗記学習
    <目的>
    言語学習実験において現在最も一般的に行われている方法についてその実験手続きを理解し、それぞれの方法の特徴を知ること。(配布プリントより抜粋)
    <方法>
    ・用意するもの ストップウォッチまたは時計、記録用紙
    無意味綴を記入した提示用リスト
    ・実験手続き
    保持項数法 実験者は被験者に8枚の無意味綴の書かれたカード(以下カード)を2秒ずつ提示し覚えてもらう。その後提示されたカードをすべて思い出してもらい、実験者は被験者の思い出した音節を全部(正答、誤答にかかわらず)思い出した順序に記録する。30秒間経ったら思い出すのをやめさせ、今度はカードを提示する順番を変えて同様なテストを行う。このような手続きを被験者が全部の音節を1回で正しく思い出せるようになるまで続けるが、15回行っても全部を正しく思い出せない場合はそこで実験を打ち切る。このようにカードの提示順序にかまわず、どれだけの項目が覚えられたかを調べる。
    系列予言法 まず実験者は被験者に1系列8枚のカードを2秒ずつ提示し順序通り覚えてもらう。2回目以降同じカードを同じ順序で提示し、見せているカードの次のカードが何であったかを、次のカードが提示されるまでに次々と答えてもらう。実験者は被験者の思い出した音節を全部(正答、誤答にかかわらず)記録する。学習は被験者が1系列を全部正しく予言できるようになるまで続けるが、30回行っても全部を正しく予言できない場合はそこで実験を打ち切る。
    対連合法 まず実験者は被験者にアルファベットのカードと無意味綴のカードが対になった1系列のカード(8対計16枚)を2秒ずつ提示し対で覚えてもらう。次にアルファベットのカードを見せているときにその対の無意味綴のカードが何であったかを、次のカードが提示されるまでに次々と答えてもらう。実験者は被験者の思い出した音節を全部(正答、誤答にかかわらず)記録する。次の試行からはカードの順番を変えて予言してもらう。学習は被験者が1系列を全部正しく予言できるようになるまで続けるが、30回行っても全部を正しく予言できない場合はそこで実験を打ち切る。
    ・実験条件 場所 E303
      時間 1月18日および1月25日の4限
    系列位置効果とは多くのものを一定の順序で覚えないといけないときに生じる、系列内の位置によって学習の難易の違いである。両学習法の系列内の位置による正解数の違いを系列位置曲線としてグラフにまとめた。保持項数法と系列予言法では試行数がぜんぜん違うので比較は難しい。そこで比較しやすいようにグラフをパーセンテージになおした(右図)。言語材料の系列予言学習では一般に最初の項目が一番早く覚えられ、真ん中より少し後寄りの項目が最も覚えにくい。グラフをみると1番目と8番目(特に1番目)は最も正解率が高く覚えやすいことがわかる。最も覚えにくい項目をみると系列予言法では1番目から徐々に正解率が下がり6、7番目の真ん中より少し後寄りが最も覚えにくいことがわかる。3番目は正解率があがっているが覚えやすい綴りであったため正解率があがったと考えられる(ちなみに綴りはタウで「タウ…タウリン!!」とすぐに直感的に頭の中で意味のある言葉と結びついた)。保持項数法では2、3番目が最も正解率が低いが、次に低い4~7番目とは正解した個数でみると1個の差であった。3試行ですべてを暗記し終えたので正解率の違いがわかりにくく、正解率は最も低いが2、3番目が最も覚えにくいとは言いにくいと思う。
    ⑤遠隔連合度 系列予言法でのリスト内侵入はなかったため遠隔連合度はなし
    ⑥上記の結果を総合しての3つの学習法の類似度や難易度の検討
    3つの学習法の中で保持項数法が最も覚えやすく、系列予言法が最も覚えにくかった。難易度の違いは覚えるのにかかった試行数からみても明白である。
    保持項数法と対連合法は試行ごとに提示する順番をかえる。順番を変えることで覚えるのが難しくなるかと思ったが意外にもそうではなく、むしろ覚えやすくなった。なぜなら順番を変える作業をするのに少し時間がかかるため試行ごとに若干のインターバルができる。その少しの時間で頭の中で覚えたものの整理ができるからである。一方順番を変えない系列予言法の試行間には前の試行で何を間違ったかなど考える時間もなくすぐ次の試行に移ってしまうため覚えるのが大変だった。
    他にも保持項数法は個々の綴りを単独で覚えればよかったが、対連合法はアルファベットと綴りを、系列予言法はその綴りの前後の綴りをセットで覚えねばならないのでそこにも難易度の違いが生じている。
    系列予言法と対連合法は(特に系列予言法)正答数の変動が激しい。最初のほうで間違うとリズムが狂いその後立て直すのが難しくなるためであると考えられる。
    <まとめ>
    3つの学習法の中で保持項数法が最も覚えやすく、次いで対連合法、系列予言法の順に覚えにくかった。
    結果
    ①3つの学習法
    での測定値
    ②正答数の試行毎の変化
    ③3つの学習法の誤答数
    ④保持項数法と系列予言法での系列位置曲線

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