ジョン・ロックにおける子どもの教育論,特に習慣形成や賞罰法を中心に述べよ
ジョン・ロックは1632年,イングランド西南部サマセットシャーでジェントリの家に生まれる。若い頃から医学に関心をもち,その中で実証主義・経験主義の学問精神を学び取り,1675年医師になる。1683年政争に巻き込まれ,オランダへ亡命。1688年,名誉革命が起こり,その際「権利章典」の作成に協力する。著作は「寛容に関する書簡」(1689年)「人間知性論」(1689年)「統治論二偏(市民政府二論)」(1689年)「教育に関する考察」(1693年)などが有名。彼はダブラ・ラサ(精神白紙説)を主張した。ダブラ・ラサとは心の中には生まれながら刻み付けられた観念や原理などはないという考えのことである。この考えに従えば,子どもは生まれた時はまだ,何の観念も持っておらず,成長するにつれ教育によって様々な観念を獲得するようになるのであり,これは経験主義的な勧化と言うことができる。彼は,子どもの教育はまず感覚的訓練から始めるよう主張する。感覚によって一つ一つの対象について我々の心の中で観念が起こり,様々な知識が得られる。すなわち感覚...