「ソーシャルワークの形成過程について述べよ。」
ソーシャルワークの原点は、宗教的な慈善活動である。キリスト教の信者たちは、神を父とし、皆が等しく神の子であり、兄弟であるという思想を持ち、慈善とは神の正義と一体とし、隣人を愛することが神を愛することに繋がるとした。教会に貢納された農産物は、慈善活動として貧困者のためにあてられた。
1.ソーシャルワークの源流と確立期
Ⅰ「源流」
16世紀のイギリスで多くの民衆が困窮し、中世的な慈善による救済では、対応しきれなくなる。そこで1601年「エリザベス救貧法」により、有能貧民と児童に労働の義務を負わせた。19世紀になると産業革命によって、工業化され農民から人口が流出し、都市化が進む。低賃金労働、衛生問題などエリザベス救済法では対応しきれず、1834年に「新救済法」が制定され貧困者対応が行われるが、国の政策では不十分であったため、民間の福祉活動も行われる。代表的なものは以下の三つである。①慈善組織協会(COS)・・・公的・民間組織、個人の慈善事業の組織化を進め、ソーシャル・アドミニストレーション(社会福祉運営)の方法・技術の発展、ケースワークの実践...