A会社はB業者から中古工作機械を5台100万円で購入した。ところがそれから1年半後、実はこの機械はC会社の工場からDにより盗まれたものであり、DがこれをBに売却したものを、さらにBがAに転売したことがわかった。CはAに対してこの機械を返還を請求するとともに、この1年半分の機械の使用料もCに支払うべきだと主張している。この場合のABCDの法律関係につき論ぜよ。
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本事案では、工作機械5台(以下、本件動産と記述)を盗まれたCが、その転得者たるAに対して本件動産の返還請求および使用料の支払いを求めたことが主軸である。よって、CのAに対する本件動産の返還請求、CのAに対する1年半分の本件動産の使用料支払い請求、その他の請求の順に以下、ABCDの法律関係について論じていく。
? CのAに対する本件動産の返還請求について
(1)CはDにより本件動産を盗まれている。したがって、現占有者であるAに対して所有権に基づく返還請求をするものであると考えられる。
これに対して、Aとしては即時取得(192条)を主張することが考えられる。これは認められるか。
即時取得の趣旨は動産の取引において、占有を信頼して取引をした者は、譲渡人の権利の有無とは関係なく権利を取得するという、公信の原則を採用したものである。したがって、?目的物が動産であること、?前主が無権利者であること、?前主に占有があること、?前主との間に有効な取引行為が存在すること、?平穏・公然・善意・無過失で占有を取得することの五つの要件を満たした場合には動産の所有権を取得するものである。
A会社はB業者から中古工作機械を5台100万円で購入した。ところがそれから1年半後、実はこの機械はC会社の工場からDにより盗まれたものであり、DがこれをBに売却したものを、さらにBがAに転売したことがわかった。CはAに対してこの機械を返還を請求するとともに、この1年半分の機械の使用料もCに支払うべきだと主張している。この場合のABCDの法律関係につき論ぜよ。
Ⅰ
本事案では、工作機械5台(以下、本件動産と記述)を盗まれたCが、その転得者たるAに対して本件動産の返還請求および使用料の支払いを求めたことが主軸である。よって、CのAに対する本件動産の返還請求、CのAに対する1年半分の本件動産の使用料支払い請求、その他の請求の順に以下、ABCDの法律関係について論じていく。
Ⅱ CのAに対する本件動産の返還請求について
(1)CはDにより本件動産を盗まれている。したがって、現占有者であるAに対して所有権に基づく返還請求をするものであると考えられる。
これに対して、Aとしては即時取得(192条)を主張することが考えられる。これは認められるか。
即時取得の趣旨は動産の取引において、占...