核家族化、少子高齢化等福祉を取り巻く社会環境の変化の中、空巣老人のソーシャルサポートはどのように変容していくだろう。筆者は、都市部における空巣老人のソーシャルサポートの課題を検討し、社区におけるサポートの可能性を考察する、さらに、日本の福祉政策からの示唆の上、空巣老人のソーシャルサポートの方向性を見出す展望を行う。
中国都市部における空巣老人の
ソーシャルサポートのゆくえ
核家族化、少子高齢化等福祉を取り巻く社会環境の変化の中、空巣老人のソーシャルサポートはどのように変容していくだろう。筆者は、都市部における空巣老人のソーシャルサポートの課題を検討し、社区におけるサポートの可能性を考察する、さらに、日本の福祉政策からの示唆の上、空巣老人のソーシャルサポートの方向性を見出す展望を行う。
第1節 都市部における空巣老人のソーシャルサポートの課題
本節では、都市部における空巣老人のソーシャルサポートの課題をサポートの供給源問題に絞って、都市部における空巣老人の「単位」サポート源、家族サポート源、施設サービス源の変容について検討する。
1.単位の福祉機能の退化
中国の社会保障制度の変遷は、計画経済期と社会主義市場経済期の2つに大別することができる。まず、計画経済期(1949-1978年)においては、労働者の雇用は全て国により保障されている。国有企業に雇用されると終身雇用が約束される終身雇用制が形成され、実施された時期と言える。また、1951年に国務院(日本の内閣に当たる)が「中華人民共和国労働保健条...