家訓の継承と権威化
1.家訓の継承
我が家には過去4代に渡って守られている規則がある。それは「連帯保証人には絶対にならないこと」である。私が中学生のとき祖父から聞いたとき、なんだか拍子抜けというか、興醒めした記憶がある。家訓といえば、古めかしく、なんとなく格式高くて、立派なものだとイメージがあったからだ。また、そうでなくても、何か事を起こすに当たって奮い立つような言葉や積極果敢な気分にさせる言葉があるのではないかと思っていた。それが「連帯保証人になるな」とは、私は気分がげんなりとなった。そのような家訓など、守る必要などないとさえ思った。
家訓という見た目では単なる文字の羅列を子孫に強制させることはできない。なぜなら、子孫であろうと人格をもった一個人であり、主観と自由意思をもって、各々生きているからだ。そこで、なんらかの技術や道具が必要になる。自然法則にあうように調整すればよいのである。つまり、自由意思をわが意に添わせようなどとしないことである。たとえば、われわれは基礎的な自然法則、科学の知識を知っている。火を消そうとして油をそそぐような真似はしない。それは体験や経験によって知っているか...