学力低下とは何かを明らかにし、社会階層のような社会的不平等と学力がどのような関わりを持つかについて述べて下さい。
まず学力低下とは何か考えていく。ただ、学力とはなんなのかということが明確にされたわけではなく、議論されていくべきものなのでその特徴を述べていく。今日、表面的な現象としての学力低下よりも、学ぶことへの価値付けが低下している。これを苅谷剛彦氏はインセンティブ・ディバイド(意欲格差社会)と表現している。苅谷剛彦氏の調査したデータによると、1979年と1997年を比べれば明らかに階層間の格差は拡大している。つまり、勉強離れが進んでいるのである。
こういう実態の中で学力低下論の議論は大まかに4つのタイプに分けられる。
タイプ1「国家・社会の観点」からゆとり教育に肯定的なもの、多かれ少なかれ、学校に適応しない、あるいは適応しようとしない児童・生徒を無理して学ばせなくてもいいという議論であり、その資源を優秀な児童・生徒の教育に有効活用しようという趣旨である。この反論として、学習するという習慣を身に付けることをしておかないと、技術革新などで将来職場で求められる能力が変化したときに自分で学習...