222 法学 1単位目
1単位目―1
1単位目―1
法と道徳の違いについて考えてみると大きく3つに分けられる。
法は人の外面的な行為に関係するものに対し、道徳は人の内心に関係する。
法の義務は両面的であるのに対し、道徳の義務は断片的である。
道徳の場合、借りたものを返す場合、感謝して返すという道徳的感情により返すことが求められるが、法にはない。
以上のように、法と道徳の違いについての考え方は、法の本質を示すには不十分である。したがって、法と道徳には、そこに「強制」があるかないかで違ってくる。
法と道徳との関連と区分とに関しては多くの学説があり、代表的なものとして以下の説がある。領域説は、あらゆる道徳規範を法の中に取り入れることが可能であるという思想を前提に、法と道徳の適用される領域との相違に基づいて主張されるものである。「法は道徳の最小限である」という見解が代表的であるが、この考えには、道路交通法や時効など、一定の限界がある。対象説とは、法が人の外面的行為を対象として規律するのに対し、法は良心などの内面性を対象として規律するという見解である。しかし、民法上の善意や過失などのように、法も...