近年パレスチナに対する圧制が問題視されているイスラエル。この国のかかえる問題を、加害者であるイスラエル側から論じる。
イスラエル側から見つめるイスラエルの問題点
「イスラエル元兵士の若者は、除隊後、自分がやったことへの良心の呵責から貧乏世界旅行に出かけることが少なくない」
貧乏世界旅行に出かけた作家のとあるエッセイに出てきたこの台詞に私はとても強い興味を持った。
なんらかの暴力的な事件が起こったとき、そこには加害者と被害者がいる。そして、ひとびとの同情やそれにあいまってうまれる正義だとか倫理などはすべて被害者側に集中し、加害者にはそういった感情があてられないことが多いのではないのかと思う。
今回の例に当てはめれば、占領するイスラエルと占領されるパレスチナがあり、そこでおきた暴力的な数々の事件に関してモラルと正義がかけているのはイスラエルであり、あわれむべき被害者はパレスチナという図式が立ちやすいのでは、ということである。
もちろんこのことはまちがっていない。パレスチナ側は間違いなく授業で習ったとおり悲惨な占領に身をさらされた被害者であり、イスラエルはそれを行ったのだ。
しかし、先生の言葉で私は今まで気づかなかったことに気づいた。
わたしは加害者グループの中に潜んでいる被害者を見落としているのではないだ...