幼児期の発達について述べています。
ことばを話すこと、読み書きすること、記憶すること、これらは人間を特徴づける機能である。今回は、「話す」「読み書きする」「記憶する」、そして「行動する」という4つのテーマについて述べていこうと思う。
まず、話すことについて、人間は進化の過程で咽頭部が広く形成されたために、声帯の振動を共鳴させ、コントロールして自由に発声することが可能となった。ことばを話し始めるのはおよそ1歳6ヶ月ごろといわれており、その後、小学校入学のころには大人と不自由なく会話ができるようになる。しかし、私達が外国語を学ぶ時にはそのようにはいかない。言語の習得という同じ目標に向かうにも関わらず、母語を聞くときのようには、いかないのである。赤ちゃんは、「ぱ」と「ば」のような微妙な音韻の違いが聞き分けられるとされているが、大人はlとrの違いを聞くのは難しい。
なぜ、日本語である母語習得と、諸外国語の習得の間でそのような差が生じてしまうのか、それはおそらく、言語に関する情報が音声として日常的に私たちの内部に入ってこなかったためであろう。音声情報というのは、学習や物事の習慣化にたいへん大きな影響を与えているのではないかと思う...