2010年後期の日大通信メディア授業の教育の思想の授業内容です。扱った内容をまとめてあります。学習の参考になれば幸いです。
第1章
教育のポピュラーなパラドックスは、教育という、教える-学ぶ関係の制作自体が、教育の具体的実現を否定するパラドックスに違いない。自律と依存をめぐるパラドックスがこれである。近代教育の目的は、自律的な人間の育成であるが、教育という在り方は依存を意味していることから、依存によってどのようにして自律的人間が生み出されるのかというパラドックスに直面せざるを得ない。
大学の教職課程を履修し、教育職員免許状を取得しようとする皆さんの多くが、近い将来教師になることを目標にしていると思います。したがって、「なぜ教師を目指すのか?」といった問いを向ければ、「立派な教師になって、善い教育を行いたい」と、多くの人が答えることでしょう。少なくとも「悪い教師になって、悪い教育を行いたい」と答える人は皆無だと思います。しかし、「立派な教師」「善い教育」とは何でしょうか。自分自身の経験した学校教育をふり返った時、私たちは「すべての教師が素晴らしい人であった」とか、「すべての授業が有意義で、楽しかった」とは到底いえません。たぶん、「つまらない教師」や「退屈な授業」も多かったに違いないはずです。そんな時、私たち...