(1)犯罪者処遇とは、犯罪の抑止及び犯罪者の社会復帰を容易にする目的で、犯罪者に対して加えられる国家的措置の総体をいう。
犯罪者の処遇の観念は、19世紀中葉期後の近代刑法学の改善思想とともに誕生したが、この観念が一般に普及したのは、1950年以降、特に1955年の第1回の「犯罪防止および犯罪者の処遇に関する国際会議」が開催されてからのことである。
この会議において国連が決議した『被拘禁者処遇最低基準』は、犯罪者に関する国際的な指針として、世界各国の行刑に大きな影響を与えてきた。特に、本規則が、被拘禁者の法的地位を明確にして、それを尊重することを基本とし、処遇目的が社会復帰にあることを表明したことにより、「犯罪者処遇」は、「犯罪者の改善更生ないし社会復帰に必要な取扱い」を意味するものとして、犯罪者及び非行少年などに対し、再犯を防止し、社会復帰を容易にする目的でその人格に働きかけるところの、社会学的、教育学的、医学的、心理学的処置をいうものと解されている。
そして、世界各国の行政立法ないし行政制度の改革は、いずれも社会復帰思想を犯罪者処遇の基本理念として採用するに至っている。
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