現場で行える簡易な水質調査方法を学ぶ.
水域に窒素やリンが多く含まれると,富栄養化して,アオコや赤潮が発生する.これにより,魚介類が死んだり,水資源として水質が悪化したり,景観を損なったりする.また,亜硝酸性窒素や硝酸性窒素が含まれる水を飲むと,幼児の場合,メトヘモグロビン血症を起こすことがある.この他に,亜硝酸イオンは2級アミンと結合して発ガン性物質を生成するともいわれている.また,排水処理施設から亜酸化窒素が発生することがあるが,これは地球温暖化の原因となる温室効果ガスの一種である.以上のようなことから,水環境中で,窒素やリンは問題物質となっている.
もし今回測定した水道水に窒素やリンが多く含まれていたとすると,水道水を飲むことにより,窒素やリンが原因の感染症(先ほど挙げたメトヘモグロビン血症など)が広まり,様々な健康障害が起こるだろう.中庭水に含まれていれば,微生物が増殖して景観を損なってしまう.下水処理水の場合,河川や海域に流れるので,中庭水の場合に加えて魚介類等に影響を及ぼすと思われる.
簡易な水質調査(パックテスト)
目的
現場で行える簡易な水質調査方法を学ぶ.
方法
2-1〈試料〉環境水など:下水処理水,神田川水,中庭の水,水道水
飲料水など:スポーツ飲料,緑茶,しょう油,日本酒
2-2〈方法〉パックテストを用いて,COD,アンモニア性窒素,硝酸塩,亜硝酸塩,リン酸塩,残留塩素を測定した.
結果と考察
〈課題1〉
結果は以下のようになった.
表1 パックテストの結果
N(mg-N/L) PO4-P
(mg-P/L) ClO
(mg/L) COD
(mg/L) NH3-N NO2-N NO3-N 中庭の水 0.4 0.015未満 0.23未満 2.31 0.4 30 水道水 1.56×10-1 0.006未満 1.15 0.066未満 0.1未満 2 神田川水 0.39 0.15 4.6 0.66 0.1未満 20 下水処理水 0.3 0.06 10 1.15 0 10 スポーツ飲料 0.16 0.015未満 0.23未満 0.066未満 0.1未満 18
(×4000) しょう油(×100) 3.11 0.0...