繊維の燃焼性

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    資料紹介

    燃焼性実験・乾留実験を通して、様々な繊維の熱的性質を調べる。

    毛の主成分はケラチン、絹の主成分はフィブロインで、どちらも繊維性タンパク質である。このため、C,H,O,Nを含み、毛はさらにSを含む。原料物質が同じため、両者の燃え方は似ていたといえる。フィブロインは多数のアミノ酸が連結してできた糸状分子だが、加熱した際に縮れたのは、タンパク質の分子鎖を固定している水素結合が切れたためだと考えられる。毛や絹を燃やしたときのにおいはNO2やNH3などによるもので、毛の場合、さらにSO2のにおいも含まれていただろう。また、どちらもNを含むため、HCNも発生していたと考えられる。乾留実験でアルカリ性を示したのはNH3が発生したためだろう。また、毛は常温・常湿の状態でもかなりの量の水分を吸収している。加熱した際に水滴が見られたのはこの吸着水と分解中に出る水のためだろう。黒褐色のドロドロしたものがみられたのは、分子鎖がアミノ酸位の低分子にまで分解し、何らかの窒素化合物を発生したためだと考えられる。

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    繊維の燃焼性
                   
    1.目的
       燃焼性実験・乾留実験を通して、様々な繊維の熱的性質を調べる。
    2.実験方法
       2-1〈試料〉
          15種の基本的繊維
       2-2〈器具〉
          ピンセット、ガスバーナー、試験管、pH試験紙、試験管バサミ
       2-3〈方法〉
    燃焼性実験
    ガスバーナーの炎を小さく出し、淡青色に近づけた。
    試料をピンセットでつまみ、炎に近づけたときと炎の中、炎から離したときの繊維の様子を観察した。
    乾留実験
    試料を細かくし、丸めてわたのようにしてから試験管の底に入れた。
    試験管の口に湿ったpH試験紙を置いた。
    試験管を、水平かやや口を下に向けて加熱し、試料の様子を観察した。
    3.実験結果
       結果は以下のようになった。
    表1 燃焼実験の結果
    繊維名 炎に近づけたとき 炎の中 炎から離れたとき におい 燃えかす 綿 収縮も溶融もしなかった 炎に入れると直ちに激しく燃えた 自燃性あり
    細くて、うすい灰色の煙 紙の燃えるにおい 灰色で非常に細かく、触るとすぐにくずれた 毛 溶けず、縮れて黒くなった 縮れてよく燃えた 煙を出し、少...

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