H22報告課題商法Ⅱ「取締役及び執行役の報酬規制について述べよ」参考文献 C-book 商法120選<第2版>(早稲田経営出版、新保義隆)
1 報酬
取締役の報酬は、委任契約(330条)の内容であり、その決定は業務執行行為として取締役の権限でなし得るはず(362条2項)。だが、これを取締役が自己の報酬等を決定できるとすると、お手盛りの弊害が生じ、会社の利益を害する恐れがある。そこで、定款または株主総会決議に決定させるものとした。
2 役員の報酬
代表権を有しない取締役は使用人を兼務でき、執行役員等でこのような使用人兼務役員に支給される使用人としての給与は、361条の「報酬等」にあたるかにつき、通説・判例のあたるとする肯定説と否定説の争いがある。
「報酬等」は、取締役の職務執行に対する対価をいい、使用人としての給与は含まない。もっとも取締役としての報酬を小額に抑え、使用人としての給与を高額にすれば、361条が潜脱され得るので、株主総会で取締役として報酬を決定する際に、使用人としての給与を別に支給する旨を明らかにしなければ使用人としての給与を支給できないと解する。
3 範囲
「報酬」は、給与等の名称を問わず職務行為の対価として受ける給付をいい、賞与も含む(361条)。
退職慰労金は「報酬」にあたる。この点退職慰...