図工科指導法
■児童の生育上の課題
まず、現代社会における児の生育上の課題をふまえ、生きる力について私の考えを述べる。現代社会の特徴として、「豊かさ」「電子機器」「管理」という3つのキーワードがあると考える。それぞれについて説明する。まず、日本は物質的に大変「豊か」である。飢えて死ぬような事態は考えにくい。お金を出せば、欲しいものは大抵手に入る。大戦前後にあったような物質の欠乏状態からはほど遠い。それは素晴らしいことだ。だが一方で、欠乏状態だからこそ感じられる価値がある。ハングリー精神が湧き起こるのも、そうした時だ。食べ物がないからこそ、食べ物をいつでも手に入れられるように豊かになりたいと願い、行動が生まれる。必死で学び、働く。行動をすれば、失敗もあるだろう。試行錯誤が多く積み上げられる。目の前の課題を解決するための試行錯誤。私はこれこそが、「生きる力」と呼ばれているものの一つの本質だと考える。
二番目に、私たちの周りには「電子機器」があふれている。その結果起こったことの一つに「身体を動かす機会が減った。例えば買い物はインターネットで済ませられるようになった。友人とはオンラインでも会...