Treismanの特徴統合理論に基づくモデルを仮定して、視覚探索課題におけるポップアウトと探索非対称性を検証した。
問題と目的
視覚の情報処理に関しては様々なモデルが提唱されているが、その内のひとつ、Treismanの提唱した特徴統合理論は様々な批判や修正を受けながらも、視知覚の主要な研究として取り上げられている。特徴統合理論では、初期視覚は各モジュールに分業された特徴検出と、形状認識のための特徴統合に分かれているとする(図1)。これによると、網膜で受容された視覚情報は色、方向、運動やテクスチャなどの特徴次元ごとに異なった経路(モジュール)で処理され、その後にこれらの特徴が統合されて認識に至る。このモデルを支持する証拠として、視覚的探索課題におけるポップアウトと探索非対称性を挙げることができる。視覚的探索課題は、複数の妨害刺激の中に特徴で定められた目標刺激が存在するか否かを判別する課題である。この課題において、通常妨害刺激の数は判別までの反応時間に大きな影響を与える。しかし、目標刺激が妨害刺激の持たないある特徴を持つとき、妨害刺激の数に関わらず、ほぼ一貫した速さで標的刺激の存在を発見できることがある(図2)。この現象をポップアウトという。このことから全ての刺激が並列的、高速に処理されていることがわかる。また、妨害刺激の特徴を、目標と関連しない範囲で変更しても反応時間には差がなく、これは特徴ごとに情報が処理されていることを示している。
視覚的探索において、妨害刺激と目標刺激を交換すると、一方ではポップアウトが発生するが、もう一方では発生しない現象が確認されている。このような現象を探索非対称性という。両刺激の物理的差異は同じであるのにこのような違いが起きるということは、片方の刺激は、ある標準的特徴と比べて逸脱した特徴を持っており、視覚処理においてはその逸脱した情報が優先して伝達されるとすれば説明できる。一方では単一の逸脱属性を検出すればポップアウトが起こるが、もう一方では妨害刺激の逸脱属性に目標刺激が埋もれてしまうのである。本実験はこのTreismanのモデルに従って探索非対称性が発生することを検証した。
視覚探索課題における
OとCの探索非対称性の検証
心理学専修課程 学生証番号XXXXXX
XXXX
XXXX年XX月XX日提出
要約
Treismanの特徴統合理論に基づくモデルを仮定して、視覚探索課題におけるポップアウトと探索非対称性を検証した。
問題と目的
視覚の情報処理に関しては様々なモデルが提唱されているが、その内のひとつ、Treismanの提唱した特徴統合理論は様々な批判や修正を受けながらも、視知覚の主要な研究として取り上げられている。特徴統合理論では、初期視覚は各モジュールに分業された特徴検出と、形状認識のための特徴統合に分かれているとする(図1)。これによると、網膜で受容された視覚情報は色、方向、運動やテクスチャなどの特徴次元ごとに異なった経路(モジュール)で処理され、その後にこれらの特徴が統合されて認識に至る。このモデルを支持する証拠として、視覚的探索課題におけるポップアウトと探索非対称性を挙げることができる。
図1:特徴統合理論の初期視覚モデル
左から右に向かって高次の処理が行われる。
視覚的探索課題は、複数の妨害刺激の中に特徴で定められた目標刺激が存在するか否かを判...