古代ギリシアの哲学者として、ソクラテスは自分の弟子―プラトン、そしてプラトンの弟子―アリストテレス三人が「ギリシアの三哲」と呼ばれ、ヨーロッパ哲学界の創始者と思われている。
ソクラテスは自説を著作として残さなかったため今日ではその生涯・思想共に、他の著作家の作品を通して窺い知ることができるのみである。ソクラテスの弟子―プラントが記録した「対話編」、アリストテレス及びクセノポンの著作はそのメインである。しかし、アリストパネースの著作はとソクラテスの生涯と思想を記録するために書かれたわけではなく、風刺するのがもとの目的である。それに、古代ギリシアの哲学界では、哲学者たちは自分の理念、論理、そして個人の特徴の全部を師匠から得たものとして記載する伝統がある。プラトンもその伝統に従ったため、ソクラテスに関する著作の中に、プラトン自身の思想も紛れ込まれている可能性もある。
ソクラテスはヨーロッパ思想に貢献したものの中に、もっとも重要なのはおそらく彼の弁証法であり、ソクラテスの問答法とも言われている。ソクラテスは神や正義などのような問題を探求する時に、この弁証法はよく使われている。最初の記載はプラト...