はじめに
キリスト教芸術の主題である「埋葬」は、今回の参考文献であるザ・ヌード内に記述されているように、古代芸術の悲劇性を伝える4つのモティーフの中の一つである、英雄の死を構想とした“グレコローマン彫刻 戦士の墓石”から、数々の芸術家たちの理想とゴシックの葛藤を経たが、そのまま移行された。
この「埋葬」というテーマから、作品以前の肉体の苦しみより、その美しさを歌い上げた、ジョヴァンニ・ベルリーニの“天子に支えられる死せるキリスト”と、その意味を確立したミケランジェロの影響を受けているとされる、ラファエロの“キリストの埋葬”を比較していく。
1、天使に支えられる死せるキリスト
ジョヴァンニ・ペリーニ作
1474年頃 91×131cm
ピエタ(聖母マリアが、キリストの遺体を膝で支えている)の新しいイメージ(天使がキリストの遺体を支えている)を取り入れている。
これまでのキリスト教芸術の主題であり、悲劇性の主題である造形表現だった、痩せ衰え、浮き出る肋骨の示す苦しみにより、感動を与える肉体構成を覆し、正反対である美しさを肉体に与えた、最初の作品である。
2、キリストの埋葬(キリスト遺骸の運搬...